新型コロナウイルス感染症が蔓延してから数年経過し、感染の疑いがある場合には、PCR検査やオンライン診療を受けることが常態化しつつあります。
1.PCR検査費用の医療費控除の適用について
医療費控除の対象になる医療費は、医師等による診療や治療のために支払った費用や治療や療養に必要な医薬品の購入費用とされています。したがって、医師等の判断により、新型コロナウイルス感染症に感染している疑いがある者に対して行われるPCR検査の検査費用は、医療費控除の対象となります。
一方で、自己の判断によりPCR検査を受けた場合の検査費用は、上記の要件に該当しないので、医療費控除の対象とはなりません。ただし、PCR検査の結果、陽性であることが判明し、その後治療を行った場合には、治療に先立って行われる診察と考えられるため、医療費控除の対象となります。
また、感染予防のために購入したマスクや消毒液の購入費用についても、上記に該当しないため、医療費控除の対象となりません。
2.オンライン診療に係る諸費用の医療費控除の適用について
オンライン診療による診療料等については、それぞれ以下のような取り扱いです。
(1)オンライン診療料
オンライン診療料のうち、医師等による診療や治療のために支払った費用については、医療費控除の対象となります。
(2)オンラインシステム利用料
医師等による診療や治療を受けるために支払ったオンラインシステム利用料については、オンライン診療に直接必要な費用に該当するため、医療費控除の対象と思われます。
(3)処方された医薬品の購入費用
処方された医薬品の購入費用が、治療や療養に必要な医薬品の費用に該当する場合には、医療費控除の対象になります。
(4)処方された医療品の配送料
医薬品の配送料については、治療または療養に必要な医薬品の購入費用に該当しないため、医療費控除の対象となりません。
(参考)
所得税法第73条2項、所得税法施行令第207条1項1号、2号、
所得税基本通達73-3、73-4