皆さんは、確定申告をするにあたり「勤務先が源泉徴収票を発行してくれないので確定申告ができない」という経験はありませんでしょうか。

実は、事業主は従業員に対し、法律により源泉徴収票を交付する義務を負っていて、交付義務を怠った場合には、罰則が科せられることが定められています。

また、従業員は、事業主が源泉徴収票を発行しない場合には、源泉徴収票不交付の届出書を税務署に提出することにより、税務署から事業者に対する行政指導を促すことができます。

詳細は下記のとおりです。

1.法律で交付が義務付けられている源泉徴収票等

法律で交付が義務付けられている法定調書は、次の(1)~(9)で、平成19年1月1日以降に交付するものについては、事前承諾等の一定の要件を満たせば、書面による交付に代えて、電磁的方法により提供(電子交付)することができます。

(1)給与所得の源泉徴収票

(2)退職所得の源泉徴収票

(3)公的年金等の源泉徴収票

(4)オープン型証券投資信託収益の分配の支払調書(支払通知書)

(5)配当等とみなす金額に関する支払調書(支払通知書)

(6)上場株式配当等の支払に関する通知書

(7)特定口座年間取引報告書

(8)未成年者口座年間取引報告書(契約不履行等事由が生じた場合に限る)

(9)特定割引債の償還金の支払通知書

2.給与所得の源泉徴収票不交付の罰則規定等

(1)交付期限

所得税法226条の規定により、給与等の支払いをする事業主は、給与等の支払いをした年の翌年1月31日までに、給与所得の源泉徴収票を従業員に対して交付することが定められています。

また、年の中途において退職をした者に対しては、退職の日以後1ヵ月以内に退職所得の源泉徴収票を交付することが定められています。

(2)罰則規定

所得税法242条の規定により、上記(1)の交付期限までに給与所得の源泉徴収票を交付しなかった場合またはこれらの書類に偽りの記載をして交付した場合には、1年以下の懲役または50万円以下の罰金に処することとされています。

(3)源泉徴収票不交付の届出書

従業員の再三の催促にも関わらず、事業主が給与所得の源泉徴収票の交付をしない場合には、その事業主の所在地の所轄税務署に対し、源泉徴収票不交付の届出書を提出することにより、税務署から事業主に対し、行政指導を行わせることができます。